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最高裁判所大法廷 昭和24年(れ)1128号の1 判決

主文

原判決を破棄する。

被告人両名を免訴する。

理由

被告人吉野長次郎、同辻福助の弁護人黒川渉、同望月武夫の上告趣意について。

原判決がその確定した事実に対し、鉄砲火薬類取締法施行規則二二条、四五条を適用して被告人等を処断したことは所論のとおりである。しかるに、同規則四五条は、昭和二二年法律七二号「日本国憲法施行の際現に効力を有する命令の規定の効力等に関する法律」一条によって、昭和二三年一月一日以降は国法としての効力を失ったものであることは当裁判所大法廷判決(昭和二五年(れ)第七二三号同二七年一二月二四日言渡、判例集六巻一一号一三四六頁)の判示するとおりであるから、右失効した前記規則四五条を適用処断した原判決は失当であって、論旨は理由がある。

よって旧刑訴四四七条により原判決を破棄し、同四四八条により更に判決すべきものであるが原判決の確定した事実に対しては、前記の如く、右鉄砲火薬類取締法施行規則四五条は失効したので本件は犯罪後に刑の廃止があった場合にあたるから、同四五五条三六三条二号の規定により被告人両名を免訴すべく、主文のとおり判決する。この判決は、裁判官田中耕太郎、同霜山精一、同斎藤悠輔、同本村善太郎の反対意見を除き裁判官全員一致の意見によるものである。裁判官斎藤悠輔の反対意見及び裁判官河村又介の補足意見はそれぞれ前記大法廷判決記載のとおりであり、裁判官田中耕太郎、同霜山精一、同本村善太郎の反対意見は、右裁判官斎藤悠輔の意見と同様である。

(裁判長裁判官 田中耕太郎 裁判官 沢田竹治郎 裁判官 霜山精一 裁判官 井上 登 裁判官 栗山 茂 裁判官 真野 毅 裁判官 小谷勝重 裁判官 島 保 裁判官 斎藤悠輔 裁判官 藤田八郎 裁判官 岩松三郎 裁判官 河村又介 裁判官 谷村唯一郎 裁判官 小林俊三 裁判官 本村善太郎)

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